サラリーマンの生涯収支と老後資金についての考察【その10】

第10回:最終シミュレーション - 老後資金は足りるのか?

これまでの連載で、サラリーマンの生涯収入、支出、退職金、年金、老後の生活費などについて詳しく見てきました。今回は、これらのデータを総合し、一般的なサラリーマン夫婦が老後資金をどのように確保できるのか、またどのようなリスクに備えるべきかを解説します。


1. 生涯収入の試算

一般的な大学卒サラリーマンの生涯収入は約2億6,190万円とされています。


2. 現役時代の総支出の試算

生活費

現役時代(22歳から60歳までの38年間)の平均月間支出を42万円と仮定すると、年間で504万円、38年間で約1億9,152万円となります。

子供の教育費

子供2人分の教育費を約2,000万円と見積もります。

総支出

現役時代の総支出は、生活費約1億9,152万円と教育費2,000万円を合わせて、約2億1,152万円となります。


3. 退職金の試算

大卒で定年退職まで勤務した場合の平均退職金は約2,230万円とされています。 


4. 老後資金の試算

生涯収入約2億6,190万円から現役時代の総支出約2億1,152万円を差し引くと、約5,038万円が残ります。これに退職金約2,230万円を加えると、老後資金は約7,268万円となります。


5. 老後の生活費と年金受給額

老後の生活費

老後の生活費を月額約23.9万円と仮定すると、年間で約286.8万円、30年間(65歳から95歳まで)で約8,604万円となります。

年金受給額

夫婦の年金受給額を月額約22万円と仮定すると、年間で約264万円、30年間で約7,920万円となります。


6. 老後資金の収支

老後の生活費約8,604万円から年金受給額約7,920万円を差し引くと、約684万円の不足が生じます。しかし、老後資金約7,268万円からこの不足分を補填すると、約6,584万円が残ります。


7. 老後の医療・介護・老人ホーム費用への備え

この残りの約6,584万円を、老後の医療費、介護費用、老人ホーム入居費用などに充てることが可能です。


8. まとめ

  • 生涯収入:​約2億6,190万円

  • 現役時代の総支出:​約2億1,152万円

  • 退職金:​約2,230万円

  • 老後資金:​約7,268万円

  • 老後の生活費:​約8,604万円

  • 年金受給額:​約7,920万円

  • 老後資金の残額:​約6,584万円

これらの試算から、一般的な大学卒サラリーマンの場合、老後資金は十分に確保できる見込みです。ただし、実際の生活費や医療・介護費用は個々の状況によって異なるため、計画的な資産運用と支出管理が重要となります。


これまでの連載をご覧いただき、ありがとうございました。皆様の将来設計に少しでもお役立ていただければ幸いです。