サラリーマンの生涯収支と老後資金についての考察【その8】

第8回:老後の生活費はいくら必要か?

老後の生活設計を考える上で、実際にどれくらいの生活費が必要となるのかを把握することは非常に重要です。今回は、総務省の家計調査データをもとに、年金世帯の平均支出を明らかにし、どの程度の貯蓄が必要なのかを検討します。


1. 高齢夫婦無職世帯の平均支出

総務省の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1か月あたりの平均消費支出は約25.1万円と報告されています。 

主な支出項目(月額平均)

  • 食料費:​約6万7,000円

  • 住居費:​約1万5,000円

  • 光熱・水道費:​約2万2,000円

  • 家具・家事用品費:​約1万円

  • 被服及び履物費:​約5,000円

  • 保健医療費:​約1万5,000円

  • 交通・通信費:​約2万9,000円

  • 教養娯楽費:​約2万1,000円

  • その他の消費支出:​約4万9,000円

これらを合計すると、月額約25.1万円となります。(合計金額は、23.3万円)


2. 高齢単身無職世帯の平均支出

同じく、65歳以上の単身無職世帯の1か月あたりの平均消費支出は約14.3万円とされています。 

主な支出項目(月額平均)

  • 食料費:​約3万7,000円

  • 住居費:​約1万2,000円

  • 光熱・水道費:​約1万4,000円

  • 家具・家事用品費:​約5,000円

  • 被服及び履物費:​約3,000円

  • 保健医療費:​約8,000円

  • 交通・通信費:​約1万4,000円

  • 教養娯楽費:​約1万4,000円

  • その他の消費支出:​約3万1,000円

これらを合計すると、月額約14.3万円となります。(合計金額は13.8万円)


3. 老後の収入と支出のバランス

生命保険文化センターの調査によれば、夫婦2人の老後の最低日常生活費は平均で月額23.2万円とされています。一方、ゆとりある老後を送るためには、平均で月額37.9万円が必要とされています。 

これらのデータから、老後の生活費は最低でも月額23.2万円、ゆとりを持つためには月額37.9万円が必要であることがわかります。


4. 老後に必要な貯蓄額の試算

仮に、夫婦で65歳から90歳までの25年間を老後と設定し、月額25万円の生活費を見込むと、総額で約7,500万円が必要となります。一方、月額37.9万円のゆとりある生活を送る場合、総額で約1億1,370万円が必要となります。

ただし、これらの金額は公的年金などの収入を考慮していないため、実際に必要な貯蓄額はこれよりも少なくなる可能性があります。しかし、医療費や介護費用などの突発的な支出も考慮する必要があるため、十分な備えが重要です。


5. まとめ

✅ 老後の生活費:​夫婦2人の最低日常生活費は月額約23.2万円、ゆとりある生活には月額約37.9万円が必要

✅ 高齢夫婦無職世帯の平均支出:​月額約25.1万円

✅ 高齢単身無職世帯の平均支出:​月額約14.3万円

✅ 老後に必要な貯蓄額:​25年間で最低約7,500万円、ゆとりある生活には約1億1,370万円が必要

補足​(ここからは生成AIではありません)

  • 必要な貯蓄額は、公的年金を考慮していません。計算しなおすと
  • 高齢夫婦無職世帯がゆとりある生活の場合:約1億1,370万円-(222,383円/月×12×25)=46,985,100円(188万円/年の不足)
  • 高齢夫婦無職世帯が最低限の生活の場合:7,500万円-(222,383円/月×12×25)=8,285,100円(33万円/年の不足)
  • ただし、平均の住居費が1.5万円/月ですので、都心で賃貸の場合は、その分を加えてください。たぶん、年に100~200万程度、支出は増えるかと。

次回は、**「老後の医療費・介護費用はどれくらいかかるのか?」**について詳しく解説します!


次回:「老後の医療費・介護費用はどれくらいかかるのか?」へ続く